変わる世の中 変わる大学受験
さて、今回は高校3年生にとっては耳の痛い話になるかもしれません
また、今年大学受験を控えた保護者の方にとっても、少々受け入れにくいところもあるかもしれません
受験の話をする前に、令和となった今の世の中を簡単に整理しましょう
- グローバル化が加速し、世界中の人と仕事をしたり、交流を持てる
- バブル崩壊や世界的な金融危機もしばしば
- ここ数年の新型コロナウイルスの影響で人の往来は停滞、代わりにオンラインでのやり取りが増加
- インターネットを介した情報端末の成長と拡大
端的に言えば先行きが不透明で今までの正解がことごとく正解とはならない そんな時代です
そんなこの先の未来を生きる子どもたちにとって、どんな力が必要なのか?
どんな教育をするべきなのか?
それが文部科学省が出している『学習指導要領』に示されているわけですね
(我が国の優秀な方々が知恵を絞ってまとめたものですので、きっと間違っていないと思います)
ただ、学習指導要領に限らず、偉い人がまとめた文章と言うのはとにかくお堅くて難解です
『理解させる気あんのか?』と思ったこと多数ですよ
そんな学習指導要領を私なりに一言でまとめると
“先の見えない時代を生き抜くために必要な力を養う” ですかね
そのために
「自ら考えて自らの責任のもと行動する(主体性)」
「他者と協力できる(協働性)」
「多くの価値観を許容できる(多様性)」
という文言や、思考力・判断力・表現力などの力が必要であるとなるわけですね
さて話を受験に戻しますが、こういった社会的に求められる人材が変わってきたことで、大学も輩出したい人材が変わってきたわけです
大学は義務教育でもなんでもありません 自ら学ぶ意思のある者が通うところです
なので、大学も輩出したい人材をより多く確保するために入学者の選抜から見直していきます
それを
アドミッション・ポリシー(入学者の受け入れ方針をまとめたもの)
カリキュラム・ポリシー(学生の教育方針をまとめたもの)
ディプロマ・ポリシー(卒業時に輩出したい人材の方針をまとめたもの)
として、各大学は打ち出しています(ホームページ等で確認できます)
そして、学力以外の観点でも入試を行うために、受験形態を多様化しています
今の入試形態は大きく3つです
- 総合選抜型入試
- 学校推薦型入試
- 一般選抜型入試(共通テスト利用を含む)
この時期では総合選抜型は二期目の最中ですし、学校推薦型はまさにこれからってところでしょうか
いずれも以下のような傾向があります
総合選抜型入試 ・いかに自分がアドミッション・ポリシーに合致していて、その大学で学ぶ意欲があり、大学で頑張れるかを見てもらう
学校推薦型入試 ・高校生活の3年間をいかに過ごしてきたか、それをアドミッション・ポリシーに則して大学生活にどう活かしていくかをみてもらう
以上の2つは主に学校生活や資格検定、将来の目的意識などの学力では測りにくいところを判断してもらう入試形態です
一方で一般選抜型入試はいわゆる『本番一発の学力勝負』という印象が強いですよね?
私はそこにまったをかけたいと思います
大学の定員厳格化と合格者の基準
本題にはいるための大事な前提条件を確認します
それは2018年からの『大学定員の厳格化』による競争の激化です
すごく平たく言うと背景はこんな感じです
少子化によって受験生の数が減る中、今や 【 受験生の数 < 大学の定員の合計 】 という状態→それでも都心の大学に受験生が集中し、地方大学に人が集まらない
→若者が集まらないから地方は活性化しない
なので、国は大学に定員の厳格化(定員を大きく上回っても下回ってもいけない)と反したときの罰則(助成金の減額)を設けました
こうして受験生を分散させ、地方にも目を向けさせるようにしたわけですね
さて、こうなると大学も策を講じざるを得ません
少々ヒドイ言い方になりますが、大学(特に私立大学)にとって 在籍学生=財源 です
できれば多く確保したいところなわけですが、多すぎてしまうと今度は国からの援助が止まります
ということは、大学は「4年間(ないし6年間)通い続けられる辞めない学生」が最も欲しくなります
だからこそ、上述した
大学での学ぶ意欲があり、アドミッション・ポリシーにもあっている生徒(総合選抜型入試)
高校生活が安定していた生徒(学校推薦型入試)
は、辞めずに卒業する見込みが高いと言えます
これらの層をある程度上記の方法で確保しつつ、一般選抜型入試でも振るいにかけるわけですね
一般選抜型入試の問題は、この上記2つである程度人数が埋まったところで、更に定員の厳格化により合格上限が規制されたことによって、競争が激化したことです
椅子取りゲームっぽく言えば、今までは100コ椅子が並んでいたのに、70コしかなくなってしまったんです
国の思惑としては「ここでは勝てないから違う場所(大学)で椅子取りゲームに参加しよう」と考える受験生が沢山出ることを期待していたわけですが、全員がそう考えたわけではありません
「70コに減ったから気合入れていかなきゃ」と考える受験生もいます
特に上位大学の人気は強く、受験生が減ることはほとんどありませんでした
さて、ここからは少々ややこしい話です
最上位大学の人気は変わっていません つまり、椅子取りゲームの参加者は変わっていない状態です
そこから椅子の数を100コから70コに減らしたわけです
と言うことは、今までなら座れていた30名はどうなるか…
何名かは来年また挑戦する(浪人)という選択をしますが、中には上位大学の椅子取りゲームに参加するようになります
こうなると今までの人数+30名(最上位大学を狙える実力者)という地獄展開です
しかもここも椅子の数が今までより減らされています
このように、最上位の大学は多少の競争率の増加で済むのですが、そうでないところは玉突き的に競争が激化していくわけです
この影響で、昔はボーダーフリーと呼ばれていた大学は首都圏にはほぼなくなったとか…
さ、いよいよ受験生には厳しい現実です
- 大学の求める人材の明文化
- 総合選抜型入試や学校推薦型入試の隆盛で定員枠の圧迫
- 伴う一般選抜型入試の激化
毎年受験生は大変ですが、ここ数年の受験生は特に大変そうだと思います…
一般選抜型入試と学校出席
さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題
はっきり言って受験生には受け入れ難い主張をしていきます
この時期、受験に向けて学校を休んで塾や予備校に行くという生徒がどこの学校にも一定層います
また、インターネットにはそれを後押しするように
「学校の授業は受験に役立たないから、受けないでもよい」
「卒業が決まっているのであれば、休んでも問題ない」
といたるところで目にします
受験生からしたら“みんな(?)がそう言っているから私も学校行かないで勉強しよう”と思うのもわかります
ですが、冷静に考えてください
ネットに書かれた意見はそれでうまくいった一部の人の書き込み(体験談)です
そうならなかった人の意見をみたことありますか???
「受験のために学校行かなかったら欠席超過で卒業できなかったw」
「学校休んでまで受験勉強したのに合格できなかった ぴえん」
こんな書き込みみたことありません
往々にして、人は失敗談は話したくないものです
特に自己顕示欲を刺激するネット世界では、みじめな失敗よりキラキラした成功を発信したいんです
また、大学目線でも学校を休むことのデメリットをあげましょう
先ほど言った通り、大学は辞めない学生が欲しいんです
つまり自己管理がしっかりできて講義に参加し、ちゃんと単位を修得できる そんな人です
各々欠席理由は様々ありますが、少なくとも欠席が多いことがプラスに働くことは皆無です
欠席が多いことは「私は自己管理ができない人間です」と暗に示していることになります
大学は高校と違い締切関係がとにかくシビアです
高校では本当の締切前に先生が締切を設けてくれていて、忘れたり遅れてもなんとかなるケースが多いです(期日は守りましょう
ですが、大学は締切が本当の締切ですし担任の先生から声掛けもされません
しいて言えば、大学内の掲示板に張り紙されてさらされるか個別でメールが来るくらいです
学校に来ないというのはそれだけで連絡や配布が遅れてしまいます
(言わせてもらえば、休んだ分の情報を伝えたり、郵送するのは教員の善意であって授業料には含まれていません)
特に年度初めの履修登録でミスして進級できず、そのまま退学とか大いにありえる話です
「でも“一般選抜型入試では調査書は全く関係ない”ってネットに書いてありました」という反論も聞こえてきそうです
それを書き込みを書いたが受験生の頃はそうだったのでしょう でも時代は令和です
大学も入学者の選抜方式を見直している最中です
もちろん一般選抜型入試においては当日の学科試験が大きなウエイトを占めることは間違いないでしょう
でもだからと言って欠席日数を軽んじていい理由はありません
少なくとも今の大学を取り巻く現状からは想像ができません
受験生の皆さん、自分に都合がいい情報だけ受け入れて行動をしないように気を付けてください
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